2016年06月23日

航空豆知識「飛行機の重心位置計算」その8

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
以前に「飛行機の重量計算」シリーズをお届けしましたが、ただ今「飛行機の重心位置計算」について飛行機の教官がためになる情報をシリーズでお届けしています。

飛行機の重心位置計算(その8)重心位置の飛行への影響
今回は「重心位置の飛行への影響」について説明します。

重心位置が前方に片寄った場合は、重心位置が許容範囲内にあれば、最大着陸重量であっても、フラップを着陸位置に下げた状態で、昇降舵を引くことによって、機首を着陸姿勢 まで引き起こすことができます。重心位置が許容範囲内にあれば、前脚や前脚の取り付け部、タイヤ及び前部の胴体構造に加わる着陸時の荷重を限界値内に収めることができます。また、重心位置が許容範囲内にあれば、最大離陸重量であっても、規定された離陸速度まで加速すれば、離陸の機首上げ操作ができます。 空力的には、機首の上げ下げ操作の舵角が大きくなるために操縦性は下がりますが、縦の静安定、すなわち元に戻ろうとする復元力は良くなります。

重心位置が後方に片寄った場合は、重心位置が許容範囲内にあれば、空力的には、機首の上げ下げ操作の舵角が小さくなるために操縦性は上がります。縦の静安定、すなわち元に 戻ろうとする復元力は悪くなりますので、後方限界はこの静安定を考慮して決定されます。重心位置が後方限界に近くても、主脚や主脚の取り付け部、タイヤの強度、及び地上走行における前輪での滑走方向の維持や旋回が安定して行うことができます。

028のコピー-1024x768.jpg

「飛行機の重心位置の計算」に関しては以上となります。また、新たな豆知識にもご期待下さい。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。
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2016年06月22日

航空豆知識「飛行機の重心位置計算」その7

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
以前に「飛行機の重量計算」シリーズをお届けしましたが、ただ今「飛行機の重心位置計算」について飛行機の教官がためになる情報をシリーズでお届けしています。

飛行機の重心位置計算(その7)重心位置の許容範囲
今回は「重心位置の許容範囲」について説明します。

飛行機を運用する場合に、重心位置が一つの点のみであると、搭載は難しくなり、実際には役に立たなくなります。しかし、実際の飛行機は、昇降舵、補助翼、トリムタブなどの 操縦装置を適切に操作することによって、釣り合いを保つことができますので、重心位置に一定の幅を持たせてあります。この幅のことを重心位置の許容範囲といい、計算による 方法や何度も試験飛行を重ねた上で、飛行機の製作者がその範囲を決め、飛行規程の中の運用限界の一つとして設定されています。

出発する前に搭乗する飛行機の機長は、この許容範囲内に重心がくるように、積載物等のバランスを検討しなければなりません。飛行機は空中を飛行するため、高度または積載物や燃料の搭載量など重量の変化もあって、風圧中心と重心位置を常に一致させることは難しくなります。そのために、飛行機自体の操縦性と安定性に基づいて、重心位置には移動しても良い許容範囲を設けることにより、その許容範囲内に入っていれば、風圧中心と重心位置がずれても安全な飛行ができるようになっています。

重心位置の許容範囲-1024x701.jpg

次回は「重心位置の飛行への影響」について説明します。お楽しみに。
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2016年06月21日

航空豆知識「飛行機の重心位置計算」その6

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。
以前に「飛行機の重量計算」シリーズをお届けしましたが、ただ今「飛行機の重心位置計算」について飛行機の教官がためになる情報をシリーズでお届けしています。

飛行機の重心位置計算(その6)空力平均翼弦(MAC)と重心 
今回は「空力平均翼弦(MAC)と重心」について説明します。

これまで飛行機の重心位置として、基準線からの距離として表す方法を説明してきましたが、この重心位置を「空力平均翼弦MAC(Mean Aerodynamic Chord)」の前縁から重心位置までの距離を「% MAC」で表す場合の方法について説明します。「空力平均翼弦」とは、航空力学での揚力が発生する理論及び計算する上での便宜上の主翼全体を空気力学的に平均した仮想の翼弦となります。


飛行機の主翼の形が矩形翼、すなわち、主翼の前縁から後縁までの距離が、主翼の付け根から先端まで同じ長さとなっているような長方形であれば、重心位置が「前縁からの距離」として計算することが容易にできます。しかし、実際の小型飛行機の主翼の形状は、その飛行機の性能や強度を考慮して設計されていて、主翼の付け根付近は長く、先端では短くなっている、いわゆる「テーパー翼」となっているものがほとんどです。そこで、飛行機に揚力を生じさせる理論上の主翼として、作図によりこの「空力平均翼弦」を翼断面とする仮想の主翼として矩形翼を考えて、計算します。


従いまして、「平均翼弦」は理論上の揚力の中心となりますので、これに対比して重心位置を表すことは、飛行機の安定性の目安として合理的であると同時に便利です。この表し方では、以前に述べたように基準線から何インチというように距離で示すのではなく、「平均翼弦の何%」というような表現になります。つまり、平均翼弦の前縁から重 心位置までの長さを平均翼弦の全長で割って100 倍した比率、すなわち百分率で表します。

空力平均翼弦1-876x1024.jpg

次回は「重心位置の許容範囲」について説明します。お楽しみに。
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